イルカの祖先は大昔、4本足で陸上を歩いていた!
イルカは漢字で『海豚』と書きますが、ブタよりもスマートで愛敬のある外見をもっています。
それに加え、頭がよく、遊びが好きで、日本国内だけでなく海外の水族館などでも愛らしくて素晴らしいショーをこなす人気者です。
近年では人気の高まりとともに研究も進み、その優れた能力も明らかになってきています。
イルカは人間と同じ哺乳類で、体温も36.5℃と、人間と変わりません。
集団生活を営み、助け合って生きる社会的な動物です。
また、胸ビレには、人間の手と同じく5本の指の骨があります。
イルカの胸ビレの骨格標本
胸ビレに5本の指の骨があるのがわかる

もともとイルカやクジラの祖先は、6500万年前には、今のカバに近縁の哺乳類でした。
とはいえ、カバ科に近いと発見されたのは、実はごく最近のことです。
それまでは、メソニクス科という小型の肉食哺乳類が祖先とされていました。
メソニクス目の臼歯は三角形の特異なもので、鯨目のそれと類似していました。
とりわけ、頭骨の構造やその他の形態学的特徴からも原クジラ亜目との類似性が強かったことから、メソニクス類を鯨目の直接の祖先だする説が長らく信じられていたのです。
しかし古代クジラ類のよく保存された骨が発見されたことと、近年の系統学的な分析によって、今日では、鯨目はメソニクス目よりもむしろ、カバ科を始めとする偶蹄目に近縁であることが示されたのです。
カバ

イルカとカバが、いつごろから別々の進化の過程に進んだのかは、まだハッキリとはわかっていません。
でも、同じ水の中を泳ぐ魚類に比べると、イルカはエラが無く、酸素を水から摂取することができないことからも、水中生活の歴史はまだ短いと考えられています。
しかし、いったん陸上で生活していたイルカやクジラの祖先は、なぜ再び水中に戻ってしまったのでしょうか?
それは大型肉食獣の登場で、陸上での敵が増えたことや、気候の変化の少ない水中はエサが豊富だったことが主な理由と考えられています。